浸透探傷試験 【Penetrant Testing】
浸透探傷試験は試験体表面の開口した欠陥を探す代表的な検査方法です。比較的安価で一般的に広く活用される試験方法です。
試験の原理は液体の狭い隙間があれば重力に逆らってでも入り込んでゆく「毛細管現象」を利用した非破壊試験。
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浸透探傷試験の適用できる材料と試験の種類
適用できる材料
製品(試験体)の表面開口であれば多くの材料に適用できる。
・鋼板、鋳造品、鍛造品、溶接部、ガラス、セラミックスなど多数の製品(試験体)に適用できる。
適用できない材料
多孔質(ポーラス)な材料や吸水性のよい材料には適用できない。
・木材や紙、布のような材料では適用できない。
試験方法の種類
浸透探傷試験は観察方法(Type)、余剰浸透液の除去性(Method)、現像方法(Form)の組み合わせで18通りあります。
・観察方法(タイプ)
「蛍光浸透液」(Type:Ⅰ)
「染色浸透液」(TYpe:Ⅱ)
「二元性浸透液」(TYpe:Ⅲ)
・余剰浸透液の除去性(方法)
「水洗性」(Method:A)
「後乳化:油ベース」(Method:B)
「溶剤除去性」(Method:C)
「後乳化:水ベース」(Method:D)
「水及び有機溶剤」(Method:D)
・現像方法(フォーム)
「乾式現像法」(Form:a)
「水溶性湿式現像法」(Form:b)
「水懸濁性湿式現像法」(Form:c)
「有機溶剤ベース(タイプⅠ用速乾式)現像法」(Form:d)
「有機溶剤ベース(タイプⅡ及びⅢ用速乾式)現像法」(Form:e)
「特殊用途用」(Form:f)
・染色浸透探傷試験では乾式現像法と無現像法の組み合わせはないので18通りとなる
表し方として、除去方法が溶剤除去性、観察方法が染色、現像方法が速乾式ならば
「溶剤除去性染色浸透探傷試験:速乾式現像方」JISz2343による略号が「ⅡC-d」となります。
試験の手順
ここでは代表的方法の一つである「溶剤除去性染色浸透探傷試験」をモデルに浸透探傷試験の試験手順を説明します。
試験体の開口部内にある油分や水分、ごみなどを有機溶剤やブラッシングにより除去します。
浸透液を刷毛塗やスプレーなどの方法を利用し試験面表面へ適用します。
浸透液適用後は規定された浸透時間(浸透液が開口部内へ浸み込む為の時間)を置きます。
試験面の表面に有る余分な浸透液をウェスや紙タオルを使いふき取ります(粗拭き)。
次に有機溶剤である余剰浸透液除去剤を浸み込ませたウェスや紙タオルで開口部の中の浸透液までふき取らない様に注意しながら拭きあげます。この工程で浸透探傷試験の試験精度はほとんど決まります。
試験面表面に均一に現像剤を吹き付けます。
現像剤は非常に小さな粒子で、粒子間は開口部より狭ければ毛細管現象で浸透液が開口部より引き上げられる
それにより表面開口部のある場所に浸透液による模様が形成されます。
しっかりとした模様が形成されるまで規定時間(現像保持時間)を取ります。
現像保持時間後、充分明るい環境(500ルクス)以上の明るさか自然光下にて現像液により吸い上げられ形成された模様(浸透指示模様)を観察し、記録用紙にスケッチや写真、テープなどで転写し記録を残します。判別できない場合は①の前処理から再度試験を実施します。
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by 非破壊検査とは? – 5Mhzで1Skip 2017-07-17 11:39 PM