磁粉探傷試験【Magnetic Particle Testing】
材料の内 強磁性体(磁石がくっつく)に適用できる非破壊試験の方法で略称はMTと言われます。検出できるきずの位置は表面に開口したもの及び表面直下です。
使用する道具は材料を磁化させる電磁石などの装置と磁粉と呼ばれる磁石の粉や鉄粉、またそれを水などの液体に混ぜた磁粉液と言われる試験液です。
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磁粉探傷試験の原理
鉄鋼材料などの強磁性体を磁化した場合材料の両端以外は連続した部分となる。その場合両端部に磁極が発生しているが内部には磁束線が通り何も発生しない。
しかし、表面や内部ににきずなどの不連続部がある場合その両端に磁極が現れ磁束が表面空間に漏洩する(漏洩磁束)。
漏洩磁束が現れた場所はほかの部分と磁束の流れが違うためそこに磁粉を漏洩磁束にそって磁粉模様が形成されます。その磁粉模様を観察することによって試験がおこなわれます。
検査方法の種類
磁粉探傷試験は使用される電流の種類と磁化をする方法、磁粉の種類とその分散媒によって分けることができます。
直接試験体に電流を流し磁化する方法
・軸通電法:電極の間に試験体を挟み電流を流すことで磁化する方法
・直角電流法:試験体の軸に対し直角方向に電極を設置し電流を流し磁化する方法
・プロット法:試験体の表面に電極(プロット)を設置し電流を流し磁化する方法
・磁束貫通法:リング状の試験体を変圧器の2次側として働かせ、誘導される電流で磁化する方法
試験体に磁束を流し磁化する方法
・電流貫通法:円筒状の試験体などの中に導体などを通して電流を流しその電流で発生した円形磁界を用い磁化する方法
・隣接電流法:試験体の試験範囲面に平行に棒状の導体などを設置し、通電して発生する磁界で磁化する方法
・コイル法:コイルが作る磁界によって磁化する方法
・極間法:試験体の一部を磁石や電磁石により磁化する方法
磁粉の種類
磁粉は鉄粉や磁石の粉の表面にバインダと言われる着色コーティングがされている。着色の種類で「黒色」、「白色」、「赤褐色」、「蛍光色」などに分けられ試験体の表面色や検出するきずの種類や大きさにより使い分けられる。
分散媒による区分
・乾式磁粉:分散器などを用いそのまま試験体に振りかける
・湿式磁粉:分散媒として主に水や灯油などに混ぜオイラーなどを使い試験体にかけ流し使用する
試験の流れ
1,前処理・洗浄:磁粉の付着を阻害する油脂や錆ごみなどの除去
2,磁化:決められた試験磁化方法及びその電流値にて試験体を磁化する
3,磁粉の適用:磁化した材料に磁粉を適用する
4,検査:磁粉模様が形成された後その磁粉模様を判定しスケッチなど記録を採取する
5,脱磁:必要に応じ残留磁束の除去を行う
6,後処理・洗浄:試験体表面に残留する磁粉液などを綺麗に洗浄し除去する。
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